上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
9 Apr 2007 The Royal Ballet

Mayerling
うたかたの恋

Choreography by Kenneth MacMillan Music by Liszt

Cast
CROWN PRINCE RUDOLF OF AUSTRIA-HUNGARY Carlos Acosta

BARONESS MARY VETSERA Leanne Benjamin

PRINCESS STEPHANIE Gemma Bond
EMPRESS ELISABETH Zenaida Yanowsky
COUNTESS MARIE LARISCH Mara Galeazzi

BRATFISCH Ricardo Cervera
MITZI CASPAR Marianela Nunez

COLONEL ‘BAY’ MIDDLETON Christopher Saunders
FOUR HUNGARIAN OFFICERS
Bennet Gartside, Yohei Sasaki, Thiago Soares, Johannes Stepanek

And Artists

こんな作品です。(出演はデュランテとムハメドフ)


マイヤリングをみてきました。しかし。またやってもーた…。開演7時からだったのに、いつもと同じの7時半だと勘違い。運よく7時にはオペラハウスまで来ていて、小腹が減ったから何か買いに行こうと思ったら、何人かの人たちがダッシュしている。そこでやっと思い出し、私もダッシュ!! せっかく学生スタンバイで安くチケット手に入れたのに、また廊下のテレビで見るの!?(「眠り」のときにやってしまいました。オペラハウスは遅刻厳禁。ちょっと遅れたら客席に入れてもらえず、廊下のモニターで見ることになります。)さすがにストールの中に入れてもらえませんでしたが、ぎりぎりセーフ!!「次からはもっと早く来るよーに」と軽くお叱りを受けて、今回は3階のボックスに連れて行ってもらえました~。3階だけど、ダンサーの表情がよく見えるいい席。死角はあるけども。

そして2幕から本来の席へ。今回私の席は、オーケストラストールの前から3番目、しかも真ん中よりというめちゃいい席。(£79→£10!!)が…あら?なんか見えにくい…。前の人の頭が邪魔!! まったく平らなんだよね…オペラハウスの前のほうの席って…。しかも前の人も、そのまた前の人の頭が邪魔らしくしょっちゅう、頭の位置をずらす。そのたびに私もまたずらすわけで(後ろの人ごめんなさい)正直、3階のボックスのほうが見やすかった…。まあもちろん、正面の舞台近くで見る迫力は勝りますが。それでは本題。

実は今回直前までマクミランのほかの作品(三人姉妹)と勘違いしていた。なのであらすじを追うのに最初ちょっと苦労した。今回の物語は映画にもなっている、有名な実話エピソードがもとになっている。拳銃自殺したオーストリア・ハンガリー皇太子ルドルフの物語。このエピソードはミュージカル《エリザベート》を見ていたので知っていた。なので気づくやいなや、ああ、わかるじゃん、と思ったのですが。あら? 愛人がいっぱい? 誰がどれで何の役?? と、一幕は終始困惑。主人公のカルロス・アコスタしかわかんないし。(しかも彼しかキャストを確認してなかったし。)ルドルフの愛人は一緒に心中したマリーしか知らなかった。(彼に妻がいたことも知らなかった。)一幕のあとでキャスト表を確認しても、マリー二人いるし!!!(MaryとMarie)結局最後までキャストはあやふやなままでしたが、リャーンがメインと聞いてやっとすっきりしました。

私の知識はミュージカル《エリザベート》の範囲。ルドルフが母(エリザベート)を慕っていて、後に愛人のマリーと心中自殺するくらいの知識。ところがどうでしょう、彼には妻もいれば、元愛人、高級娼婦の愛人までおり、しかもヤク中。ミュージカルの中では美しかったエリザベートも愛人がいる始末。しかもウィーンにいた友達によれば彼女もヤク中だったとのこと。なんかがっかり。(ミュージカルファンの方ごめんなさい。)でも、それだけの人間関係を浮き彫りにして各女性とのまったく違ったパ・ド・ドゥを見せるこの作品は、すごく見ごたえがあるものでした。

まず最初に元愛人のガレアッツィは前回で発見したとおりの女優ダンサー。今回テクニック的に大きな見せ場はないものの、演技面では非常に重要な役どころ。最初のルドルフとのパ・ド・ドゥでは大人の余裕たっぷりに踊って見せた。

妻役のボンドはまだFirst Artist。レパートリーには《オネーギン》のオルガもあるみたいで、期待の若手なんじゃないでしょうか。1幕最後のパ・ド・ドゥは夫婦間の葛藤を描くちょっと激しいもの。にもかかわらず、妻の苦悩がよく出てたと思います。

エリザベート役のヤノウスキーは、このキャストにはちょっともったいないのでは!?と思ってしまいました。スタイルがよくって伸びのあるきれいな踊りをする人で、私は大好きなんですが、この作品ではあまり見せ場がない…。2幕の恋人とのパ・ド・ドゥでは優雅に踊ってくれましたが、もっとみたかったな、というのが本音。

娼婦役のヌネズは2幕の見せ場で個性を十分発揮。色っぽく、でもいやらしさがまったく感じられないさわやかな(?)娼婦を好演。演技面、テクニック面でもまったく申し分なし。欲を言えば、もっと個性が出るといいかな、という感じ。

さて主役のお二人。カルロス・アコスタは苦悩のプリンスを踊った、というよりは役者としてルドルフを演じた、というべき。バレエの王子様というよりは人間としてのルドルフを生々しく演じていた。もちろんバレエで王子役なので気品はあるけども、娼婦との自堕落な踊り、妻を乱暴にするシーンや薬におぼれているシーンなど、どれも王子役には身分相応しないシーンではあるけども、アコスタはそれをバレエだからと慎ましく踊ったりしない。大胆に、時には崩して踊ったりして表現をつける。それがバレエの質を落とすのではなく、そのシーンにあった表現としてより昇華されているのだ。

リャーン・ベンジャミンは以前ビデオで《大地の歌》のパ・ド・ドゥを見ただけで、そのときはまったく何も感じなかったのだけど、今回のマリー役は白眉。他のどんなキャストよりも飛びぬけた演技力を見せた。マリー役は17才。初めて登場したシーンは十代らしく初々しさを見せていたけど、これがひとたびルドルフを誘惑するシーンになると、フェロモンの化身になる。もう色気がむんむん。《むんむん》という言い方は正しくなかった、もっとセクシーで上品な色香が漂うのです。でも漂うどころではなくって、充満。17歳の清楚な乙女なんて言葉はまったく似合わない、一人の女として男を誘うのです。その色香はルドルフを拳銃心中にいざなう「Femme Fatale 」として十分。3幕はまるでマリーも狂気に襲われてるんじゃないかというくらい、ルドルフとの狂おしいほどのパ・ド・ドゥ。そして無音で荒い呼吸だけが響く数秒のシーンからラストの拳銃自殺までずっとはりつめた緊張感が続き、観客をひきつけて放さない。本当に命を削っているかのような、生命の火花の輝きが見えるパ・ド・ドゥだった。

ベンジャミンは顔が大人っぽかったからしっくりきたけど、これを可憐な少女って感じのコジョカルが踊ったら…と思うと興味津々。あわなさそうだけど、ぜひ見てみたい。

他のソリストでは、運転手役のCerveraが道化役を好演。スタイルもよく、踊りも的確。

今回はロイヤルがマクミラン作品の本家だということを再確認。みんな生き生きと踊っているのがよくわかる。コールドにはあまりいい評判がないロイヤル。そろって踊るところでは見事にばらばらだけど、今回のような演劇作品で、みんなが役に合わせて個々に見せ場を作れる振り付けだと、本当にそれぞれが輝いていた。

マクミラン作品はネオ・クラシックで、ゴージャスでうっとりするような振り付けが見物だけど、今回の発見は娼婦たちの振り付け。バレエとはうって変わって、まるでボブ・フォッシー作品のようなセクシーな振り付けがかっこよかった。バレエ独特のかっちりとしたフォームはまったくないんだけれど、踊っているダンサーと振りつけた人がバレエ出身なので、エロスよりも踊りの質が勝っていてとにかくかっこよかった。

今回の作品は、他のマクミランのメジャー作品(ロミオとジュリエットとマノン)に比べたらマイナーだったのであんまり期待していなかったけど、一気にお気に入り作品の上位へ!! マクミランの作品で一番好きかも。とにかくストーリーは絶望感漂っているけど、その死への過程の命を燃やすかのような激しいパ・ド・ドゥだけでも本当に見る価値が有り。
関連記事
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://themadjournal.blog121.fc2.com/tb.php/11-c396cb5c
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。