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La Maison de BernardaVen 9 MAI 2008, Ballet de L'Opera National de Paris

La Maison de Bernarda
ベルナルダの家
Choreography by Mats Ek, Music by Johann Sebastian Bach and tradtional Spanish guitar music


Une Sorte de...
ワン・オブ・ア・カインド
Choreography by Mats Ek, Music by Henryk Mikolaj Gorecki



パリ・オペラ座のマッツ・エックプロを見てきました!

マッツ・エックは私の大好きなコンテンポラリーの振付家。私はコンテンポラリーはかなり好き嫌いが激しいのですが、エックだけは特別。というのも、コンテンポラリーは抽象的なものが多い中、彼は古典バレエの改定振付などのストーリーバレエを作っているからです。

私とエックの出会いは、「眠れる森の美女」。深夜のテレビで「眠り」のバレエがあるからビデオにいれようと思いきや、始まったのはチャイコフスキーのあの有名な音楽の眠りだけど、ストーリーやダンスは全く違うもの。眠かったにもかかわらず、一気にエックの世界に引き込まれ、最後まで見てしまいました。

それから白鳥の湖やドキュメンタリーをテレビで見ることができたものの、日本ではなかなかエックの作品にお目にかかれません。欧州にいる間に絶対エック作品を生で見ようと決めてました。

そして今年、ついに待ちに待ったエック・プロがオペラ座で!! 作品は「ベルナルダの家」。これはドキュメンタリーでちらっとワンシーンを見て以来、エック作品の中で一番見てみたかった作品。しかも大好きなオペラ座バレエで、とあっちゃ見ないわけにはいかない!! というわけで、わざわざこのためにパリに出向いた次第です。

「ベルナルダの家」は、スペインのロルカの有名な小説「ベルナルダ・アルバの家」がベース。夫を亡くした誇り高き未亡人・ベルナルダは、5人の年頃の娘に8年の喪に服すよう命じる。彼女の権力は絶対で、娘たちは息の詰まるような生活を送る。そんななか、長女の婚約者に末妹が恋をして…家族は破滅の道をたどる、という何とも悲しいお話。

でもエックの作品だと悲壮感はあまりない。悲壮というよりはもっと痛々しい作品に仕上がっている。女々しく鳴いてるようなものではなく、もっと怒りや憎しみがぶつかり合って、人間のドラマを見せている感じ。だけどエックはそれをシュール・レアリズムの手法で描いているので、ドロドロの劇的作品にはならず、抽象的にスタイリッシュに仕上がっている。でも、抽象的なのにダンサーが何を言いたいのか、表現したいのかが明確にわかるような振り付けなのがすごいところ。

エックのシュール・レアリズムは振り付けだけでなく舞台装置や衣装にも生かされていて、とってもシックでおしゃれ! これが私がエック作品を好きな理由の一つ。スウェーデン出身らしく、ミニマムで洗練されています。今回の舞台では大きな黒いテーブルが象徴的におかれていますが、そのテーブルの脚が、本当に靴をはいた足になっている。母親に怒られると娘たちがテーブルの下にゴキブリのように集まるシーンがよくありますが、たぶんそれは母親の権力を示しているのだと思う。なのでテーブルが母親に象徴されるのです。おしゃれで、かつ意味を持たせているエックのバレエの舞台は大好きです。

もちろん、装置や衣装だけでなく、ダンスも素晴らしい! 腕や足をつま先までピーンと伸ばす動きが特徴のエックバレエはとてもダイナミックだし、パワフル。そして面白いのが、彼の演出には時折台詞が入るのです。今までのダンスではありえなかった試み。というのは、彼はもともと演劇の演出家だったからです。なので彼には演劇やダンスといった垣根がない。面白いことはとりいれる、それがエック流なのです。時折狂ったように叫びだしたり、まるで普通の生活をしているように会話し始める様子が、またなんだかシュールさを醸し出していて(そしてときに笑えて)エックの世界観をより深めます。

注目は、「ベルナルダの家」では男性ダンサーが母親のベルナルダを演じるところ。配役は、クラシックもエックもなんでもござれのマニュエル・ルグリと、次の公演「シーニュ」でとうとう引退してしまうヌレエフ・ダンサーの一人・カデル・ベラルビ。彼はキャラクターダンスなどの癖がある役に定評があるので、ベルナルダはまさにはまり役といえるでしょう。運よく彼の配役で見れたのでラッキー!

30年も前につくられたのにいまだに新しい。斬新でシュールな世界をぜひご堪能あれ!

ちなみにこちらは私が釘付けになったエックの「眠れる森の美女」。この作品では、オーロラは呪いの針ではなく、麻薬の注射針によって眠って(自分の殻に閉じこもって)しまいます。




キャスト表及びレビューはこの下からどうぞ。


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Cast

La Maison de Bernarda

BERNARDA Kader Belarbi

LA SERVANTE Alice Renavand

LA SOEUR AINEE Laetitia Pujol

LA SOEUR BOSSUE Laure Muret

LA JEUNE SOEUR Caroline Bance

LA PREMIERE JUMELLE Beatrice Martel

LA SECONDE JUMELLE Christine Peltzer

UN HOMME Audric Bezard

UN TECHNICIEN Andrei Klemm(artiste invite)


Une Sorte de...

PREMIER PAS DE DEUX Severine Westermann, Jose Martinez

SECONDE PAS DE DEUX Caroline Robert, Yann Bridard

Christelle Granier, Ludmila Pagliero, Geraldine Wiart, Amandine Albisson,
Peggy Dursort, Miho Fujii

Jean-Christophe Guerri, Josua Hoffalt, Nicolas Paul, Daniel Stokes,
Alexandre Carniato, Adrien Couvez, Alecandre Gasse




あー、待ちに待った「ベルナルダの家」!!! 友人からは「よくやるねー」といわれますが、私にとってはそれほどみる価値があるものだったのです! 期待通り、本当に面白かった!

実はキャストは期待していたものではなかったのですけどね…。しかし日を選べない私にとっては仕方がない。実際、ベルナルダ以外の配役はどれが見どころか(むしろどれが姉で妹かも)わからなかったし。

実際、使用人役があんな大きい役回りだとは思っていなかった。できればジロで見たかった!! 踊ったルナヴァンはソロが多いためかなんだか最初から抑えて踊っていたような気がする。エック作品なんだから、ここははじけてはじけまくってほしいところだったのだけど。だけど妖艶なところはちゃんと見せていた。今後に期待。

さて、ここでビデオでワンシーンしか見ていない私の大誤解が発生。というか、初めて見るお客さんは誰が誰だかわかったのだろうか。(オペラ座通の人は別として。)というのも、しまい全員が黒い服を着ているので、観客はダンサーの顔だけで判断しなくてはいけない。顔の判別がつけばストーリをおってるうちに問題なくなるのかもしれないけど、遠くから見てる者としては(今回は遠くなかったけど、目が悪いもので…)全く判断できず。

とにかく最初にはつらつにブルーのドレスでソロを踊った金髪のダンサーを末娘と判断。そういえばプホールが金髪だったから、と末娘=プホールだと判断してしまったのだけど、辞書を引けば何のことはなかった、末娘はカロリン・バンスでした!!

末娘は後半、濃厚なパ・ド・ドゥがあるのでついついエトワールが踊ってるんだと思ってしまったのでした。それを信じて疑わないほどの切れのある動きでした! ソロでは若さはじけるはっちゃけた踊りを、パ・ド・ドゥでは無音の中、濃厚な空気を相手役のベザールと共有。最後は、末娘の行き場のない思いをうまく表現していました。

そのあとに裸のソロを踊ったのは、話の流れから姉だと思っていたのですが、せむしの姉だったのですね…。せむしのこぶが見えなかった気がするんだけど…。踊ったのは着実にキャリアをつけてきているロール・ミュレ。悲壮感漂う、だけどどこか力強いソロでした。

そうなると私の記憶にあまり長姉を踊ったプホールが見つからない…。せっかくのテクニシャンなのに、いったいどこで踊ったのか…ああ、もう一回じっくり見たい!!

ベラルビのベルナルダは、はまり役だった。まず年齢的にも経験的にも適役。一家を預かる家長であり、その威厳も兼ね備えている。鏡を開けてキリストと踊るソロでは、上半身裸になるのですが、それが若いぴちぴちのダンサーだったらちょっと興ざめ。その点ベラルビはいい具合に年をとってビジュアル的にも◎。踊りも完全にエックのスタイルをものにしていたよう。大変そうだったけど、それはそれで年をとった母の感じが出ていたと思う。

ベザールはカドリーユのころからいろいろ抜擢されていたけど、今回のパ・ド・ドゥもそつなくこなしていた。もっとほかの作品でも見てみたい。

正直、今回の目的はダンスももちろんだけど、エックの演出・振り付けを見に来たので、誰が踊ったとかはどうでもいいのです。(いいわけ。)本当に期待通り、とってもおもしろい作品だった!! 原作は読んでいないけど、大体話の筋はわかるし、やっぱりわかりやすい。テーブルの使い方もおもしろかったし、ベルナルダの権力、喪に服している表現もおもしろい。決して楽しい作品ではないけれど、ストーリーバレエとして簡潔にまとまってよくできている作品だと思う。


Une Sorte de...は、私の苦手なお話のない作品。だけどエックの作品なので、飽きることなく見れた。まず冒頭から面白い。女装したマルティネズと男装したウェスタマンが踊っていたかと思ったら、なんだかおしゃべりしながらシャワーをあびて、ウェスタマンをかばんに詰めて旅に出る。

扉の向こうからは無数のダンサーたちがいろいろなシーンを垣間見せ、扉の向こうの未知の世界へいざなっている。

扉の向こうへ行くと(紗幕が開くと)今度はカラフルな衣装をつけたダンサーたちが入れ替わり立ち替わり。真っ赤な風船を割ったり、色とりどりで、文字通りはじけた世界が広がる。そして第2のパ・ド・ドゥへ。

Une Sorte de...踊ったのはヤン・ブリダールとカロリン・ロベール。面白い振付だったけど、二人とも無難にこなしている、という感じでそれほど印象に残っていない。同役を踊ったミテキ・クドーが素晴らしかったらしいので、ぜひ見てみたかったところ。ミテキ・クドーは踊りもさることながらその存在感がよく評価されるので、踊りでなく存在から光っているダンサーというのを見てみたいものだ。申し訳ないけど、ロベールにはそれがなかった。ブリダールは表現に深みがあって、味がある感じ。だけど、その存在感というのに今一つ欠ける。

余談ですが、数あるカラフルなコール・ドの中でも、やっぱり日本人の藤井さんには目が行ってしまいました。今後も頑張っていただきたい。





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