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明るい小川
16, Aug, 2007 Bolshoi Ballet in London Coliseum

The Bright Stream
明るい小川

Choreography by A. Ratmansky, Music by D. Shostakovich

ボリショイツアーの最終演目、明るい小川を見てきました!

地味な題名ですが、内容はいたってコミカル。舞台は旧ソビエト連邦の集団農場「明るい小川」。農場で働くジーナとお祭りのためにやってきたバレリーナはバレエ学校時代の同期で、ジーナもすばらしいダンサーだった。ところがそんな事実を知らないジーナのだんなはバレリーナにのぼせ上がる。そんな夫を懲らしめてやろうと、村人たちが画策する…、というお話。

見所はやはりボリショイならではのすばらしいテクニック盛りだくさんの振り付け。バレエダンサーが出てくる話とはいえ、ラトマンスキーの現代的な振り付けと現代的で軽快なショスタコーヴィチの音楽がとてもあっていて、ちょっとミュージカルのような感じ。全2幕で内容もコミカルなので、バレエをまったく知らない人にも楽しんでみてもらえるはず。バリバリのクラシックではないけれど、バレエのすばらしい(かつ、驚愕すべき!!)テクニックが見れるので、バレエ初心者にぜひお勧めしたい作品。

そしてもうひとつの見所は、2幕で男性ダンサーがトゥ・シューズをはくシーン!!(私は個人的におかまキャラ大好き…。)迫力のジャンプと、普段男らしいダンサーがくねくねと、しかも美しく(!!)踊るシーンはすごくコミカルに仕上がっています!! 会場も大爆笑のシーンでした。

あまり有名でない作品だけに日本で上演される機会はめったにありませんが、もしも日本に来た場合はぜひ!!!見ていただきたい作品です。



映像は2幕より、男性ダンサーの女装シーン。(ニコライ・ツィスカリーゼ)
 
Cast

ZINA Ekaterina Krysanova
PYOTR Andrei Merkuriev

THE BALLERINA Natalia Osipova
THE CLASSICAL DANCER Sergei Filin

THE ACCORDION-PLAYER Gennady Yanin
THE OLD DACHA-DWELLER Alexei Loparevich
HIS WIFE Anastasia Vinokur
GALYA Ksenia Pchelkina
THE MILKMAID Anna Antropova

HIGHLANDER Georgy Geraskin
FIELD-WORKER Batyr Annadurdiev


もう、こんな楽しい作品だとは思ってなかった。題名からしてなんか地味だし、ソビエト時代の話だし…。そんな私を行く気にさせたのは、ひょんなことから2幕目に男性ダンサーが女性の格好をして踊るシーンを見たこと。おかまキャラ好きの私としてはこれは見に行かねば!!…というしょうもない理由のみならず、この作品を踊るアレクサンドロワがとってもすばらしいという情報を聞きつけたから。

と、思って見に行ったら当のアレクサンドロワはキャストになく…。アレクサンドロワの持ち役バレリーナは、海賊のトロワ、ガムザッティでテクニックを見せ付けたオシポワ。ジーナのクリサノワは聞いたことない人…。(と、思っていたら、海賊のトロワとバヤデールの影でソロやってました。)名前を知ってるのは男性ダンサー役のフィーリンくらい。(本当はこの役もツィスカリーゼで見たかったんだけど…。)

ということでキャストにはあまり期待しないで見た舞台だったのですが、これがすばらしいキャストだった。特にジーナのクリサノワ!! まずスタイルが美しい。細くて長い手足!! この人絶対バレリーナでしょう、という気品。オシポワよりもクリサノワのほうが、役柄の設定ではバレリーナに向いてるんじゃないかと思ったけれど、舞台を見ていくうちにクリサノワはジーナだな、と思いました。というのはジーナのほうが優雅なナンバーが多いから。対するバレリーナはむしろ優雅な動きよりはテクニックを見せ付けたり、男性と、もしくは男性として(!)踊るナンバーが多いので、やはりオシポワの役。

1幕、ジーナの登場の出や、バレリーナに言われて踊りを披露するシーンでは、完璧なテクニックとラインを披露。名前を知らなかっただけで、この人は新進のプリンシパルなのかと思ったら、まだただのソリスト!! 今回のツアーでガムザッティなどいろんな役をもらっていたオシポワもただのソリスト!!(プリンシパルまであと2,3段階)ほんと、驚きの層の厚さです。

しかしクリサノワのダンスは、バレリーナに比べて農場の娘というのを意識してるのかロシアスタイルにしては控えめで私好み。アームスのラインも美しく、それでいて足は上がるし5番もきっちりそろえてくる。その上気品もあり細くて美しいので、この人がバレリーナといわれても違和感なし。

そんな美しいダンサーを嫁にもらっておきながら気づかない夫ピョートル。踊ったメルクリエフは、テクニックはあるもののちょっと踊りが雑。だけどこの役はバレエダンサーじゃないからいいのです。バレエダンサー役がちゃんとある話ではこうして対比ができるので雑に踊っても気にならない。むしろ役作り?って感じ。演技は文句なし、かっこつける役をコミカルに見せてくれて面白かった。

さて、一幕の見せ場、お祭りのシーン(前夜祭?)。まずは村の女学生Galyaとアコーディオン奏者が踊るシーンがあるのだけれど、このナンバーの足さばきは本当に信じられないほど速い!!それを難なくこなしちゃうGalya役のプシェルキナはなんとコールド・バレエ!! 表情もくるくる変わってかわいくて、それでいてあの技術の高さ。こんなダンサーがコール・ドなんて…。本当に脱帽です。対するアコーディオン奏者はヤーニン。彼は海賊でよぼよぼのおじいさん役をやっていたからてっきり踊らない人だと思っていたら、この作品ではバリバリのダンサーということを証明。激しいダンスで魅せるテクニックはもちろん、コミカルな演技も文句のつけようがない。

そしてお待たせしました、バレリーナカップルの登場。最初のペアダンスでは優雅な音楽に合わせてバレリーナらしく踊る。ただし、パートナーをぶんぶん振り回したり、思い切ったダイブがあったりとやはりロシアのダイナミックさはかけていない。男性ダンサー役のフィーリンはノーブルなパートナーを好演。

オシポワはペアダンスでもダイナミックにバレリーナのオーラを発散。しかしその次、HighlandersとField-workersが出てきて男性らしい力強いダンスを繰り広げるシーンでバレリーナが割ってはいるところでは、女性ダンサーという枠を破ったダンスを見せ付ける。男性顔負けの力強さと切れのよさ!! ジュッテの連続のところではスピードを保ちつつもきれいなライン・高さをキープ。将来のプリンシパルであることを見せ付けた。

2幕での見せ所はやはり、バレリーナカップルの入れ替わり。オシポワは男装して1幕でフィーリンがやった振り付けと同じバリエーションを踊る。女性が踊るのだからコケティッシュになるのだけれど、テクニックはフィーリンのそれとなんら見劣りしないものを披露。

対する女装のフィーリンは、一幕のノーブルさとは打って変わってコミカルに変身。男らしい体格の上にチュチュを着てるからまったく女には見えないけれど、(これがマトヴィエンコのような線の細いダンサーなら、普通に女に見えて逆に怖いかも…。)これがひとたび美しいポールド・ブラを見せると色っぽくなるから、あら不思議。くねくねした動きや目線などで色っぽさを見せるのだけれど、コミカルさも忘れてはいないので大爆笑でした。

老夫婦を演じたキャラクターダンサーは、演技達者なところを見せ付け、キャラクターダンサーがバレエの舞台で非常に重要な脇役であることを証明した。この役どころが下手な演技を見せたらそれこそこの舞台はつまらないものになってしまうが、ロパレヴィッチは老人らしく常に猫背でまるで本当に老人のよう。その妻を演じたVincurも表情豊かなかわいいおばさんを好演していた。

舞台全体としては、まず振り付けがいい。クラシックを基盤としているのでクラシックファンに見やすいのはもちろんだが、それでいてラトマンスキーが現代らしさを加えているので、バレエ初心者にも見やすいと思う。(話も喜劇だし、短いし。)王道のアダージオはもちろん、フェッテを始め、高速のポワントワーク、高度なリフトなどテクニック的にも見ごたえ十分。ショスタコーヴィチの音楽もチャイコフスキーなどのバリバリのクラシックとはちょっと違って、現代的なラトマンスキーの振り付けが生かされていた。古典作品のリバイバルらしいけど、これはこれで後世に残る作品だと思う。

ロシアバレエでは珍しく衣装がかわいかった。ロシアのダサかわいい花柄ワンピのコール・ドの衣装がいい。ちょっと目がちかちかしそうでしたが…。

ともあれ、予想を大きく裏切り非常に楽しめた舞台でした!! 余裕があればもう一回見たかったほど。これでボリショイのツアー公演も終わり。今回の発見は、やっぱりロシアバレエはロシアの作品で見るのが一番ってことと、ボリショイの層の厚さ!! これには脱帽。ソリスト、コール・ドにあれだけ有望株がいればボリショイも安泰ですね。男性ダンサーはまだちょっと足りない気もしますが。これからあのソリストやコール・ドの女の子がどんな活躍をしてくれるか楽しみも増えました。来年が楽しみ!
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