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23 April 2011, BBC2
Alice's Adventure in Wonderland
不思議の国のアリス
Choreography by Christopher Wheeldon, Music by Joby Talbot


Alice in wonderland

2月に、ロイヤルバレエで不思議の国のアリスが上演されました。
アリス好きの私としてはどうしても見たかったのですが、公演日が卵子摘出、抗がん剤治療と重なりそうでチケットを取れなかったのです。
結局公演は抗がん剤治療回復後だったので、当日券に並んだのですが、やっぱり無理だった…。当然ですけどね。

ところが!! 
驚くべきことに、それから約2ヵ月後の先週、なんとアリス全幕がドキュメンタリーとともにBBCに登場!! 
これは異例と言えるんではないでしょうか。新作が早くもテレビに登場だなんて。
見逃した私としてはうれしい限り!! 治療のあとの最高のご褒美です!

イギリスでは、すでにイングリッシュ・ナショナル・バレエが「不思議な国のアリス」を上演していますが、(そのときのレビューはこちら
原作に近いイメージで作ったENBに比べ、ロイヤルのアリスは、まず、アリスを実在のモデル、アリス・リデルに置き換えており、
不思議の国の登場人物とアリス・リデルのいる現実世界の人物をリンクさせていることで物語に奥行きを持たせています。

不思議の国を舞台で演出するのはさぞかし大変だったろうけど、
振付のウィールドンはこれを、映像・アニメーションやさまざまな舞台装置をモダンかつ、クリエイティブに使って見事に仕上げました。
ここだけの話、大好きな作品を実写化されるときって、けっこうがっかりすることが多いのですが、この作品はそんなことなかった! 
音楽も、新しいバレエ音楽って好きになれないことが多いのですが、(クラシカルが好き)このアリスの音楽は好き!! 
振付もウィールドンらしく、クラシカルの枠にとらわれないユニークな振付で、ハチャメチャな動きが不思議の国の住人にぴったり! 
本当に大満足のバレエです。

クリストファー・ウィールドンが初の全幕物を振付することでも話題になった今作。
アリスに指名されたのは、イギリス人バレリーナ、ローレン・カスバートソン。
正直、アリスにしては大人っぽくない?と思いましたが、この作品ではアリスの年齢設定が15歳ぐらいに上げられ、違和感なし。
(でも彼女のくるくる回る表情は少女っぽくてかわいかったです。)
イギリスを代表するロイヤルバレエの新作を、イギリス人の振付家で、イギリス人のバレリーナで、というロイヤルの意向が伝わってきました。

今回のプログラムは、本編放送の前に30分のドキュメンタリーも放送されました。
内容はダンサーだけでなく、ウィールドンや舞台美術、衣装の人など、すべてのスタッフにスポットを当てて、
ひとつの新しいバレエができていく様子を見せています。

うれしいことに、まだBBCのiPlayerではまだこのアリス本編とドキュメンタリーを見ることができます。
30日まで! 見逃した方はお早めに!!
http://www.bbc.co.uk/i/b010t9hx/?t=8m35s
(残念ながら日本では見られないみたいです…。たぶん。トライしてみてください。)


↓キャスト表とやたら長くてネタばれ超ありのレビューは「続きを読む」から。
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Pickでは私が見つけたお勧め&かわいいものをPick!
ALICE Lauren Cathbertson
JACK/KNAVE OF HEARTS Sergei Polunin
LEWIS CARROL/WHITE RABBIT  Edward Watson
ALICE'S MOTHER/QUEEN OF HEARTS  Zenaida Yanowsky
ALICE'S FATHER/KING OF HEARTS  Christopher Saunders
MAGICIAN/MAD HATTER  Steven McRae
RAJAH/CATERPILLAR  Eric Underwood
DUCHESS  Simon Russell Beale
VICAR/MARCH HARE  Ricardo Cervera
VERGER/DORMOUSE  James Wilkie
COOK  Kristen McNally
FOOTMAN/FISH  Ludovic Ondiviela
FOOTMAN/FROG  Kenta Kura
ALICE'S SISTERS  Leanne Cope, Samantha Raine
BUTLER/EXECUTIONER  Philip Mosley


大好きなアリスをバレエ化!! 
ウィールドンの演出は、原作を少しひねりつつも、原作だけじゃ子供じみた作品になるところに、意味を持たせています。

ウィールドンは、この作品に、子供が大人になることにつれての葛藤を表現しました。
大人の理不尽な世界、それが不思議の国。素直な子供のままでは難しい…そんな世界がワンダーランドとして子供のアリスの目に映っています。
その伏線が一幕冒頭の現実のアリスの世界。現実世界の人が不思議に国にも登場します。

ウィールドン版の特徴は、アリスが実在のモデル、アリス・リデルに似せていること。(だから公演前のパンフレットではアリス・リデルの写真が使われたのですね!)
原作のアリスは金髪、ロングヘアですが、これはジョン・テニエルの挿絵からそうなったもの。
ウィールドン版では、アリス・リデルと同じく、ブルネットのボブヘアにしています。
舞台設定も、アリスは実在する姉と妹との三姉妹。アリス・リデルの父親と親しかった作者ルイス・キャロルも登場します。
ルイス・キャロルは三姉妹を、特にアリスを好んで写真の被写体にしており、冒頭のコスプレ写真撮影も実際に行われていました。

さて、アリスの両親主催のティーパーティーが始まります。お客たちが夢の中で不思議に国の住人となって現れる、という設定。
実はこれは、99年のイギリスのテレビ映画ですでに同じ演出がされていました。(母=女王というのはなかったですが。)
これは実写化ではうまい演出だと思います。そうすることで、単なるおかしな国の物語から、意味を持たせられる気がするからです。

ウィールドン版ではハートのジャックがアリスの相手役になっています。ちょっぴり恋愛要素が入ってるのです。(これはENB版でも同じでした。)
これはアリスファンとしてはやって欲しくなかったんだけど…。わざわざ恋愛要素をつけなくてもいいんじゃないかと。
違和感をなくすために、アリスの年齢設定が15,6に上げられています。
ジャックは使用人。アリスが食べさせたタルトなのに、理不尽にも母親は、勝手にタルトを食べたとしてジャックをクビにしてしまいます。
見て見ぬふりの他の客人たち。悲しむアリス。慰めてくれたキャロルに、アリスは再び写真を撮ってとせがみます。

眠気に襲われるアリスにフラッシュがたかれると、そこから不思議の国へ。
作者であるルイス・キャロルを、夢の国に引き込む白兎にしたのはうまいアイデア。
カメラのカバーから出てきたキャロルが白兎になっているというのも楽しい演出です。(ズボンからプリッと出た白い尻尾や、赤い目を現すサングラスもいい!)
キャロルが持ってきたかばんを広げて、その中へもぐりこみます。アリスはそこへ真っ逆さまに…。
奈落を使って、白兎のリフトで真っ逆さまに穴に落ちる様子がわかってよかった。
穴に落ちる様子はアニメーションを使って。アルファベットを使ったのは、原作の言葉遊びの要素を意識してでしょうか。モダンな演出としてみても、いい感じでした。

落ちたとたん、アリスはハートの女王に追われるジャックを見ます。
白兎も出てきたことから、アリスは単なる好奇心で白ウサギを追うというよりは、ジャックを探して旅をする、という感じにも取れます。
アリスが小さくなったり大きくなったりは、舞台装置を使って。
難しいのはアリスが大きくなるほうだけど、これは四角いキューブのような装置にアリスがおさまることで表現。これもいいアイデア! 
アリスが部屋いっぱいに大きくなったことが舞台上でもわかります。
(舞台上のアリスは小さいのに! フォローのために、キューブの背後には大きなアリスの手と足が。)
小さなドアからは花園がのぞけますが、バレエにはめずらしく花園の花のダンサーたちが客席に下りてパフォーマンス。
(アリスから向かって客席側が花園、という設定。)
これは観客にはダンサーを間近で見れてうれしい演出でした。
このときのカスバートソンの表情!! ここだけじゃないですが、彼女の表情豊かな顔は好奇心旺盛なアリスそのもの。
これはビデオならではですね。安い席でしか見れない私は表情までいつも見れない…。

作品で一番秀逸だと思ったのは、涙の池の場面。これだけは無理だろうと思っていましたが、やってくれました!! 
泳ぐシーンは、影絵とアニメーションで処理。うまい!! 
それからヴィクトリアンなイラストの波の上で動物たちと一緒に泳ぎます。この波も、下手に布でやるよりは私好みでよかった。
それに続くコーカスレースのシーンも、この作品で私が一番好きなシーンでした。
動物たちは動物を模していながらも、ヴィクトリアンな衣装で、擬人化にも違和感なし。ここでも現実世界の人がしっかりでてきました。
ここに出てくるインコの女の子と鷲の女の子は、実在するアリス・リデルの姉妹のロリーナ(Lorina=Lory(インコ))とイーディス(Edith=Eaglet(鷲))なのです。
(ちゃんとキャロルがそのように設定して書いたのです。)
ちゃんと冒頭で姉妹を演じたダンサーが演じてましたね。(だよね?)アリスファンにはうれしい演出、しかしほとんどの人はわかっていないんじゃ。
コーカスレースのダンスもハチャメチャで楽しかった! 
「art→tart→Start」の演出も、ダンスじゃわからないキャロルの言葉遊びの要素がうかがえてよかったです。

原作どおりならこの後は白兎の家ですが、白兎は出てくるものの、連れてこられたのは伯爵夫人の家。
伯爵夫人役はロイヤルに招かれた俳優のサイモン・ラッセル・ビール。彼は実は、前述した99年のテレビのアリスに、ハートの王様役で出演しています。
見た目はイラストの雰囲気が出ててよかった! でも血しぶきとんでる衣装でちょっとおどろおどろしかったですね。
料理人はティム・バートンのスウィーニー・トッドのラヴェット夫人みたい。

次はチェシャ猫のシーン。わたしの一番大好きなキャラクター。
実写版だとひどい描写が多いのですが、今回はまずまず。
やたらでかいですが、なんていうんだろう、獅子舞のような要素で、大きな顔、体、手足部分を黒子が動かします。
これによって、顔が胴体から離れて奇妙な動きをしても違和感なし!! 
尻尾がアリスに絡みついたり、顔だけが浮かび上がってニヤニヤしたり、テニエルの挿絵にそっくりなチェシャ猫は、成功だったっと思います。

白兎に導かれて、次のシーンは有名なお茶会のシーン。ここは私的には微妙でした。
確かにシーンとしてはよくできているし楽しめたのですが、ジョニー・デップが演じた帽子屋を彷彿とさせるルックス、そしてマックレーが机の上で踊るタップシーン、
これも似たシーンをまさに99年のテレビのアリスですでに見ているのです。(タップはもちろんマックレーのほうがすごいですが。)
カップをステージ上のライトに見立てるのもそっくり。なのでちょっと新鮮味にかけました。
ダンスのできは文句なし。だけどこのタップ、マックレー以外に誰かできる人がいるのでしょうか。

ここから原作の順序とは違いますが、芋虫のシーンへ。
芋虫は水キセルを吸っているので、よくありがちなのはアラブ系に擬人化されている演出。ウィールドンこれをはインドのラジャに。
柔軟な体のくねくね踊らせるアンダーウッドは確かに芋虫的な動きをするけど、話を知らない人はわからないよね? とおもったら、やってくれました。
後から芋虫の胴体をかぶったトゥシューズの女性たちがアンダーウッドの背後からにょろにょろ。これは本当によい演出!! 傘もインド的なのにきのこをちゃんと表しているのが斬新でよかった!

さてきのこをもらったアリスは食べて小さく…?なったんでしょうか、見ようによってはマジックマッシュルームでらりった様にも見えた…。
そこから花園のシーンへ。ここはやっぱり花のワルツになっちゃうのですね…。
いきなりクラシカルバレエっぽくなるからあんまり好きな演出ではないのですが、バレエ作品としてはなくてはならない、という感じなのでしょうか。
ここで夢のごとくジャックと再会してパ・ド・ドゥを踊ると、女王があれわれ、女王のお城・2幕へと続きます。


2幕冒頭は庭師たちがバラを塗っている有名なシーン。赤く塗られたバラが再び白になったり、コミカルな演出がおもしろい! 

そしていよいよ女王の登場です。
ここでおもしろいのが、バラとかけたのか、バレエ「眠れる森の美女」のローズ・アダジオのパロディを女王が踊るところ。バレエファンにはうれしい演出。
ここはグランディーババレエ団のようでしたが、欲を言えば、せっかくきれいなゼナイダの体をもっと美しくちゃんと見せて欲しかったなあ。
あそこまでパロディにすることないのに。ちゃんとバレエで踊って欲しかったです。もちろん楽しみましたけれども。
ローズの代わりにイチゴのタルトをかじりながら、というのもおもしろい。一つ一つかじっていくゼナイダの表情!! はまり役でした。

トランプ兵たちはどうなるのかしらと思いきや、いい感じに仕上がっていました。
ぱっと見じゃわかりませんが、男性は襟巻き?(あのフランシスコ・ザビエルが首にしてるようなやつ。)が、
女性はチュチュがトランプのシンボルの形になっていて、女性は前にかがむとチュチュの形がわかるという仕組み。
男性はボディ部分に、女性は頭飾りにナンバーが。かわいいデザインで満足! 
ソリストでは小林ひかるさんとチェ・ユフィさんが踊っていました。

そして場面はクローケーのシーンになりますが、まさかフラミンゴが擬人化されてくるとは思わなかった!
でもフラミンゴ、よかったです! 女性の長い足に、手を首代わりにして、動きもフラミンゴそのもの! 
ハリネズミ役の子供もかわいかった!

さて、なんやかんやあって物語は裁判のシーンへ。
ジャックの無実を訴えるアリスが踊るジャックとのパ・ド・ドゥで、陪審員の不思議の国の住人たちの同情を誘うのもまた新しいアイデア。
不思議の国の住人たちがアリスとジャックをトランプ兵たちからかばうのですが、これはこれでハチャメチャシーンを楽しくする演出でした。
最後にはディズニーのアリスのシーンであったトランプ兵のドミノ倒し!! まさか実写で見れるとは!! 
実現不可能かと思われたような楽しいシーンを何度も実際に舞台上で見せてくれる作品でした。

そのハチャメチャシーンからトランプのマウンテンが崩れて、アリスは再びもとの世界へ…目覚めてゆくわけですが、
その目覚めた先は? あら、一幕と違う。服装も現代っぽいよ? 
なんと、現代のカップル(アリスとジャック)が見ていた夢オチ、という結末でした。(女の子が「不思議の国のアリス」を読んでいた)。
これは…必要だったかな? 私は普通に一幕の世界へ戻って欲しかったんですが。
まあ、早代わりのことなどを考えると難しい気もしますが。
実は見ていくうちに自分の中で理想の結末が出来上がってしまっていて、(私の趣味です)
それと違うのでちょっとがっかりというのもありました。(同じなわけがないのですけどね。)


ダンサーについては、文句なしに主役のカスバートソン。実は見たのは初めてかも。
最初から最後まで出ずっぱり踊りっぱなしの大変な役を、最初から最後まで、一度もだれることなく一挙一動を丁寧に踊っていました。
そして、こんなに表情がくるくる回るかわいらしい人だとは思っていなかった!
もっと大人っぽいと思っていたので、アリスの役は以外でしたが、今回の舞台を見て、はまり役だと感じました。

白兎&キャロルのワトソンは、キャロルのときの優しい紳士と白兎のときのせかせかした様子など、演じ分けていておもしろかった。
特に白兎のときのせわしなく動くダンス、ウサギの動物らしいしぐさなど、はまっていました!

ジャックのポルーニンはいつもと同じくノーブルな役を。でもコミカルなところではおどけてみせ、王子じゃない、でも女の子の理想の男の子、を演じてるなあと思いました。

ゼナイダは久々に見ましたが、あまりの女王ぶりにがっかりやらおもしろいやら。
やはり前述の通り、もっときれいな彼女のラインを見たかったな。貫禄はありましたが。


今回のアリスは、本当に満足するできでした! (実はENB版はちょっとがっかりしたもんで。)
公演前にちらりと舞台美術を見たときは、かなりモダンな演出になりそうな感じがしたのですが、
いやいや、いい感じに演出されていて、逆によかった! 
まじめに全部原作どおりになんて舞台では無理ですからね。ひねったモダンな演出が、逆に舞台での実写化を可能にさせました。
とてもよかったです!

今回テレビで見たというのもありますが、やっぱりロイヤルの人たちはこういう演技するバレエが一番あっていると思いました。
最近はコンテンポラリーが多いロイヤルですが、もっとこういうお話バレエの新作をやって欲しいです。
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